十七絃J



箏(Sou. Koto) 柱(じ)と言う可動駒で音程を決める絃楽器
琴(Koto. Kin)はポジションを押さえて音を決める絃楽器


箏の各名称

1.竜甲(山)  2.竜角  3.竜額(竜角から口前まで)  4.猫脚(竜脚 下足)
5.竜舌(かつお) 6.竜口(口前)  7.竜眼(真座) 8.枕角(竜角上の白象牙)
9.四分六(包み板)  10.丸口(丸形 音穴) 11.磯  12.下がり(いのめ 耳)
13.後脚(むかで脚 上足)  14.雲角(上の竜角)  15.竜尾(小口) 16.尾布
17.柏葉 18.竜腹 19.山田爪 20.生田爪 21.箏柱   [写真1-12.16は前部]
[その他] げす板(足を差し込む所) 糸(ひげ) 口前金具(金口) すかし柏葉
[飾り]  べた  角巻き  上角(うわづの)  半上角(柏葉に巻いてないもの)
[音穴の中の彫り] 二段が子持ち綾杉 三段は三段綾杉 低価格品は すだれ


素材

胴は桐材。竜角、四分六、丸口、舌、脚などは 紅木等が使われる。
糸は絹、現在ではテトロンが主流。太さは 17-19 匁が一般的。


歴史

日本古代の伝統的楽器である琴は和琴とか大和琴と呼ばれ、現在の箏とは区別される。
現在一般に言う箏は奈良朝時代(714-780年)に雅楽の楽器として中国から輸入された。
室町時代 (1336-1573年)末期、賢順により大成された筑紫流箏曲は、彼の門人により
八橋検校(1614-1685年)に伝えられた。  八橋検校は筑紫流箏曲の数曲を改作、また
組歌など意味の繋がりのない歌詞のいくつかを組み合わせ一曲とし八橋流箏曲を樹立。
これが現在の 生田流、山田流箏曲の基である。



京都市北東部にある八橋検校の墓石、黒谷金戒光明寺(2002/5月撮影)


調絃

絃名は 順に 一二三四五六七八九十 斗[と] 為[い] 巾[きん](巾が一番手前の絃)
基本調弦は 平調子(ひらじょうし)  一から順に D G A Bb D Eb G A Bb D Eb G A
の音程で並ぶ(一と五は同音 一点ニ音)  曲により様々なバリエーションがある。


箏調子の種類

雲井調子    平調子より三八半音下げ 四九一音上げ
本雲井調子   雲井調子より巾を半音下げ(八の甲)
片雲井調子   雲井調子の三を半音上げ
雲井巾十調子  雲井調子の 巾を十 為を九 斗を七の甲
岩戸調子     雲井調子の 五十を半音下げ 六斗を一音上げ
中空調子    平調子より 六斗を半音上げ 七為を一音下げ
大空調子    中空調子の一は六と同音 二は六の乙
曙調子      中空調子から四九半音上げ 五十を一音下げ
古今調子    平調子より 四九一音上げ 二は七と同音
六上がり調子  平調子より六斗半音上げ
乃木調子    平調子より四九六斗半音上げ(第二楽調子 水調子 天津調子)
カンカン調子  乃木調子より 巾は九 為は八の甲
夏山調子    乃木調子より 七為半音下げ 一を七と同音 巾は九の甲
想夫恋の調子  乃木調子より 七為を半音下げ
雁音調子    平調子より 四九一音上げ 六斗半音上げ【 第一楽調子 】
想夫恋の調子  乃木調子より 七為を半音下げ
花雲井調子   平調子より四九六斗 一音上げ
二重雲井調子  雲井調子より 六斗を一音上げ
秋野調子    平調子より四九六斗半音上げ 二七為五十半音下げ


手法

(左手手法) 強押し 弱押し 掛押し 後押し 押放し 二重押し
         ヒキイロ  ツキイロ  ユリイロ  消し爪
(右手手法) かけ爪(カラカラテン) 半かけ爪(トンカラテン) 合せ爪
         かき爪(シャン)  割り爪(シャシャ)   流し爪(カーラリン)  打爪
         裏連(サーラリン) 散し爪(シュー) 輪連(一二←) 引連(一〜巾)
         裏づり(←→) 押し合せ(リャン) スクイ爪 擦り爪   波返し 車爪
(その他)   ピチカート バルトーク  両手グリッサンド 無調音など






(以下◆印の写真と解説資料は愛媛県松山市杉原楽器店篠原正人氏提供による)
(六宝彫りは松山杉原楽器謹製)





以前、師と一つの楽器で、同じ調絃、同じフレーズを大勢の人に弾き比べてもら
った事があります。当然と言えば当然なのですが、本当に一人づつ音色が違う!
まるで別の楽器のよう。改めて運命の楽器に出会える事の難しさを実感でした。
この珍しい写真は、松山、杉原楽器の篠原さんが何枚も撮ってくれた中の一枚。
「焼き上がり状態」と言うらしく裏板も付いていますが、四分六や龍角はまだです。
自分に合わせて好みの装飾が注文できるのは、なかなか興味深いところです。



--- 爪 ---

箏爪の材質はご禁制の象牙。細かい交差縞模様(5)があると比較的割れにくい。
右手親指人差指中指の3本の指腹に箏爪の裏側をあてがい装着。

形状は基本的に長方形だが台形に近いものもある。厚さも曲面も裏彫りの形状も様々。
2-3年に一度の割合で自作するがこれがまたしんどい。
(1)のような約5ミリ厚の端材を(3)の金やすり荒細二種類位で削っていく
(2)のようないろいろな角度を持つ作業台があると作りやすい。
おおよその形に削ったら耐水ペーパー200-1500番程度を使い徐々に磨いていく。
最後は歯磨き粉を布に付け磨くと(4)の様なツヤが出る。些細な傷でも雑音になるので注意。
自分の場合、親指と中指の裏は真平。人差し指は市販の彫ってある物を使う。
弾いていくうちの慣れもあるので余り神経質になることもないと思うが
それにしても自作も市販も同じ物は皆無。お気に入りは大切に!
尚、新品の箏爪の角を耐水ペーパーで軽く落とすと雑音が出にくい。



---◆ 爪の種類 ---

★@小爪  主に幼児用。形はクリ有りのやや薄め、オーソドックスタイプ。
★A中爪  小学校低学年向け。特定の流派では大人も使用。
★B大爪  現在もっとも一般的に流通している爪。
★C大薄爪  Bをより薄くしたもの。以前の主流。
★Dうぐいす爪  Cとよく似る。宮城会系に好まれる。
★E大大爪  Bよりも幅、長さ、厚みが大きい。以前は17絃用
★F大幅広爪  Bを基本にやや幅と厚みを増す。強力テトロンに対応
      尚、クリの深さに変化を持たせた派生種も存在
★G後藤爪  後藤すみ子先生が考案、裏のクリはなし。一般にそり指向け
★H大厚口爪  Gの先端部分に厚みを持たせ、欠けにくくしてある。
         若干のクリ有り。張力の強い箏には主流になりつつある
★I大厚口両平  Gの爪の表面(絃の当たる側)を平らに加工
★J沢井爪(コピー)  沢井一恵先生が山田爪をヒントに考案
      強いタッチの人に好まれる。
★K沢井爪幅広(コピー)  Jの幅を増す
★L大大超厚口  巨大。九州系地唄奏者の矢木先生モデル
      幅、長さ、厚み、全てで他のモデルを圧倒
★M山田爪  生田爪とはその形状、厚みが全く違う。角の部分が真ん中に来るため
      演奏者は箏に対してほぼ直角に座して演奏。裏にクリはなし
★N山田爪(特注)Mの爪の大きさを、各自指に合わせて調整
★O鼈甲(べっこう)製の爪




--- 爪輪の付け方 ---

爪輪の付け方は人様々。下記は自分流、ご参考程度に。



★1. 小道具として@Aのような物があると便利
 (千枚通しと先がヘラになっている金属棒)
★2. 指の爪回りより爪が入ってちょうどいいぐらい太めの輪を用意
★3. 番号で向きを確かめ糸で繋がれている反対の上【A】を@で開く。
 和紙が何層にもなってるのでほぼ中央を箏爪が入る
 ぐらいに裂く【B】 (人により厚みの配分が変わる)
★4. 糊を付ける前に一旦爪を入れ指にはめて様子を見る
★4. 糊を裂いた両側に塗り箏爪を入れる
★5. Aを使い【C】部分を平らに。しわができたら
 @を使いなるべく【DE】 に寄せて埋め込む
★6. 乾かない内に指を入れ箏爪をなるべく垂直に立て
 調整し、固定したら指からはずし乾かす。【F】
★7. 爪輪を代える時は爪を輪からはずしぬるま湯に
入れておけば和紙ははがれる 

以前はご飯粒や米粉を竹べらなどで練って
接着剤としたが現在は木工用ボンドを使っている。

--- ◆ 爪輪の種類 ---
(資料&備考提供松山市杉原楽器篠原君)

★1. 白爪皮(緑糸) 通称「白キット」紙の上に猫皮を貼る。
山田流なども基本的にはこのスタイルで、輪の幅等が違う。
指当りが比較的やわらかく愛好者も多い。
マニキュアを塗って寿命を延ばすケースもあり。

★2. 白爪皮(白糸) @と比べて硬めの仕上がり。犬皮?

★3. 黒爪皮(緑糸) 通称「黒キット」@と比べてかなり柔らかく
初心者等に好まれる。ただし傷みは早い。別名「なめし皮」

★4. 黒爪皮(糸止め無し)・・・基本的にはBとよく似ているが
輪の止め糸が外から見えない。色は他にこげ茶やエンジがある。

★5. 黒エナメル 多くの演奏家に愛用される。最初は指になじみにくいが
指の追従性は抜群。古い呼び方に「漆」があり、色は他に赤がある。

備考 (抜粋)
接着剤はフエキ糊とかヤマト糊といった図画工作で使う糊を使います。
爪皮の内部の和紙の寿命が糊の接着強度の寿命よりも実は早いので、
最低限の接着強度で装着します。すると交換時にもキレイに爪が取れます。
しわ伸ばしには、洋裁や和裁で使うコテを用います。利点は、あまり温度が
上がらないことで、皮を焦げつかせる心配が少ないようです。実はちょっと
した箏の表面の傷とかは、ちょい水を含ませてこの電気コテを当てるだけで
簡単に直ります。後、爪装着前に糊をつけずにいったん爪をはめ込んで
指の代わりに滑りのよい棒をそっと押し込み、爪の角度を輪に対してなるべく
垂直に矯正します。また、少し輪を広げてやることにより、将来手になじんで
輪が伸びたときの状態を強制的に作れますので、サイズが途中で大きくならな
い利点もあります。糊を入れてしわを伸ばした後も同様に矯正してやります。





--- 立奏台 ---

ついでに立奏台制作

過去いくつ試作したかなぁ?全て一長一短
まあ一番使い勝手が良いのが(a)確か本郷小川楽器が初制作か?
(b)は簡易立奏台、持ち運びが楽なだけでかなり不安定
(c)はセパレート反響板タイプ、畳んで適度に運び安く  
   頑丈だが舞台での移動が二人がかりなのと 激しい
   演奏では真中がずれる。膝が中まで入らず不自由
(d)は最新作、楽器は若干前斜めに傾き弾き安い。
   箏17絃兼用。反響板をかなり前にしたおかげで
   膝は自由。しかし持ち運びは× 音穴若干犠牲
(音穴に関しては必ずしもここから音が出てる訳ではない不思議な楽器?)
最も時間がかかるのが設計図、寸法さえ出れば大枠をドイトなどで切ってもらう
後は実際の細かい作業だがおかげで電動工具は増える一方
しかしいかに電動とは言え真っすぐに切るのは至難の業
穴開けとクサビ゙にはいつも苦労する、専門工具と工場が欲しい!
全国各地には実に様々な立奏台がある。楽器屋さんも常に工夫しているようだ
演奏時は安定、持ち運びが軽くかさばらず、音は抜群、なんてのどこかにないでしょか?





--- 尾布(おぎれ) ---

おまけに尾布制作

手っ取り早いのは古くなった尾布に好きな生地を貼り付けるだけ
元から作りたい人は箏の柏葉の下の形をトレースして使用済み
官製はがきに写し取る。若干小さめに切り抜き型紙とし好みの
生地を巻くように貼り付ける。次第に巾を狭くして音穴の裏側
まで届く長さに作る(絵参照)布生地の代わりに薄目の皮を入手
接着剤ですぐ処理できるので布より簡単。
皮で作ると糸締めがとても楽になり、また長持ちもしてくれる

ついでに口前も自作!
子供達は喜ぶがこの歳で使うのはさすがに。






--- 琴台(きんだい) ---

尺八ぶった斬り風琴台(笑)







--- チューナー ---

発表会や学生演奏会でも昨今はさすがにチューナー普及のおかげで
調絃のおかしい舞台は少なくなった。ところが自分はどうしても
メーターを見ながらの調絃が苦手。慣れなのだろうがまどろっこしい
めんどくさい、こざかしい、かっこ悪い!音を聞いて合わせるのが
ほんと楽なのである。しかしこれもかっこ良くないし周りに迷惑!
どうしてもの時はメーターの世話になるがほとんどはイヤフォン挿して
音を聴く。しかしこれもあらかた本番のみ。通常は基音だけ鳴らして
後はなるべく耳で作って行く。学生のコンクール審査員などでたまに
呼ばれるのだが演奏途中で柱が動き直せず悲惨なことになる状況を
時折目撃する。日頃訓練しとかなきゃと自分に教訓。それに曲によって
微妙に調絃が変わるのは周知の事実。基音から好みの音程を作るには
メーターじゃかなり難しい。チューナーも一長一短、今じゃかなりの
機種がある。好みは大昔の(A)音質は最も取り安くオクターブの瞬時
切り替えも便利。ただでかい!通常はキャリブレーション変更可能な
12音発音機能付きのメトロノーム(B)を使用。瞬時に欲しい音程が出る。
ちっこくてこれで十分。メトロノーム機能もなかなか。







十 七 絃 箏

大正−昭和初期に洋楽的要素を取り入れ、革命的な作品を数多く発表した
宮城道雄(1894-1956)が、低音部を担当する楽器として十七絃を考案。
箏(十三絃)より大型で糸も太い。音域は、箏よりも約1オクターブ低く
■箏[♪430K]をヴァイオリンに例えれば■十七絃[♪401K]はチェロにあたる。
当初は主に伴奏を受けもっていたこの楽器も次第に独奏楽器として認識されてきた。

大きさは おおよそ 長さ2.1m 幅35cm 厚さ10cm程度。写真のもの以外、
様々な仕様があり確定的なものはない。ピンの部分が舌の場所に付くもの、
後部の真座の裏で糸玉を使い糸を止め、残りの糸を胴内部に収納するものもある。
糸の太さは一絃から少しずつ細くなっていき通常 80-30 匁、十種類程度使用。
調絃は C D E F G A B C D E F G A B C D E (5 が一点ハ音)が基本。曲により多様。
絃名は低音第一絃から 一二三四五六七八九十 1 2 3 4 5 6 7 と表す。

十七絃を使った音のサンプル

■Pizz [♪140K]    ■鐘 [♪107K]   ■押し手 [♪71K]
■ガムラン [♪54K]  ■和音 [♪405K]  ■Gliss [♪157K]
■ギーコ [♪109K]         ■Harmonics [♪76K]  
■ミュート [♪147K]
    ■一弦Harmonics [♪79K]


段違雲角超軽量寸足十七絃



「箏より十七絃が歴史背負ってないから気楽。」と一恵師 曰く、「ごまかせるんだよ、
十七絃は!」と忠夫師曰く。 成程どちらも最も、、海外演奏など運搬に便利な短い
十七絃を試作。長さ 1873mm 幅 325mm 厚み 68mm。箏とほぼ同長、音域は通常。
容積不足の低域心配で、甲羅を薄く削ったら何と馬鹿鳴り。独奏用には? 大合奏
や POPS向けの用途? 音質は17本むらなくほどほど。強度は十分。しかし、軽い!





1991年 ジョンケージのピアノ四重奏曲を十七絃四面で挑戦しようと沢井一恵先生
の発案でニューヨークへ。これがピアノの弦にいろいろなものを挟み込んで特殊音
を出すしろもの。さて十七絃でこの音を出すにはと悩んだ末、割り箸を絃に挟むと
らしくなると先生が発見。しかし段差があって無茶苦茶弾きにくい。で独自に改良、
菜箸の先端ほどの木片二つで絃を挟み紐で止める。これがまあ得も言われぬ音、
鐘のような、ガムランのような。この木片を 移動することで音程も変わりマレットで
叩くとまた別格。思わぬ音に驚喜。この時、晩年のジョンケージに会え、また感謝
の手紙までもらって、楽しい思い出ができました。その後叩きまくってます(笑)



■三種の神器

暇人、練習もせず工作三昧。Aは持続音発生装置、十七絃の一番太い糸を
ドラムスティックに巻き付けこれで糸を擦る。まるでホーミー!!Bはかまぼこ板と
娘のヘアピンでカリンバ。原価10円。これを十七絃に組み込むと何という高価な楽器
に、、、。Cは師、沢井忠夫の強烈なトレモロ奏法にうち勝つ為の電動装置!
しかし強弱は不可、効果音にしか使えない冗談マシン。




■ 2002年から始めた十七絃ソロライブ。初回はこんなプログラム。
 毎回少しずつ変えて何かを掴めればと。

   --プログラム--

 1 正常 その-1- 柔  EssayT 十七絃本来の柔らかい音色 
 2 異常 その-1- 楽  EssayU 片足怪獣的変拍子とピタゴラス音階的倍音一絃琴即興奏法
 3 異常 その-2- 打  即興素人生兵法打絃奏法 新案特許 糸に割箸 菜箸に布
 4 異常 その-3- 擦  ホーミー的倍音世界 続新案特許  糸巻き棒による擦り奏法
 5 正常 その-2- 静  海へ T 悶絶生指連続三和音
 6 正常 その-3- 哀  海へ V 和声進行的五拍子の追悼曲
 7 正常 その-4- 広  海へ U 海の情景
 8 雨月譜         吉松隆作曲脱尺八バージョン 特殊奏法異常音多数
                 小道具 風鈴 自家製さざ波 続々新案特許響竹
 9 異常          十七絃版六段の調 脱臼!
10 けやき         一人デュオ



   演奏記録

   2002年(*印は抜粋で演奏)
Vol.1. 江古田ちめんかのや(1/23)
Vol.2. 日暮里和音(3/9)  
Vol.3. 長野正覚寺(4/18)*+ 和田.藤岡.芳賀
Vol.4. 音屋金時(4/28)* + 菅原久仁義
Vol.5. 小樽運河プラザ(5/31)*+ 羽生一子
Vol.6. 長野県飯田市 CANVAS(9/9)
Vol.7. 愛川Pizza House(11/17)
vol.8. 長野市 萩原邸(12/22)
vol.9. 小樽倉庫(12/31)* + 羽生一子 飯田雅春

   2003年
vol.10. 京都パークホテル(1/26)+ 岡田
vol.11. 新宿 カフェフラット(2/16)
vol.12. 福知山(7/19)+ 岡田.芦田
vol.13. 自宅(8/30)
vol.14. ホテルグランヴィア大阪(12/7)+ 高橋萌山

   2004年
vol.15. 愛媛県松山市 SEED(3/15)
vol.16. 鹿児島県民交流センター(3/19)+ 梶ヶ野亜生
vol.17. 宮崎県木城町えほんの郷(3/20)+ 梶ヶ野亜生
Vol.18. 小樽倉庫No.1(9/23)*+ 羽生一子+飯田雅春
Vol.19. 札幌渡辺淳一文学館(9/24)
Vol.20. 本所吾妻橋割烹委とんぼ(11/10)*+豊住芳三郎

   2005年
vol.21. 鎌倉市ギャラリー楓(7/16)
vol.22. 新宿 芙絵奴羅(11/13)
vol.23. 福井市水井推山邸(11/18)

   2006年
vol.24. 岡谷カノラ(2/4)
vol.25. 広島ことのは会(6/4)

   2007年
vol.26. 高槻現代劇場(3/9)
vol.27. 西川アイプラザ 助演田辺洌山(12/16)

   2012年
vol.28. 和空間「黄鶴」(京都11/10)



■ 早速ライブ批評が。別に擦絃や持続音にこだわったつもりはないけれど、ま、いいか。

-- 遊ぶ --  ( © 邦楽ジャーナル 2002年5月号 記事 田中隆文)
十七絃は撥絃楽器だ。作曲家もそう決めつけて曲を作る。 もちろんトレモロ奏法で音を持続させることはできるが、 ヴァイオリンのようにはいかない。しかし、そのトレモロを もっと細かくすることができれば、擦絃楽器に限りなく 近づく、、。3月9日、栗林秀明の”和音”ソロライブ「 十七絃 音のバリエーション」で、十七絃を擦絃楽器として 機能させた作品を見た。ライブのテーマは”遊び”だ。 「こんなバカなこと考えました」と照れながら披露するその 奏法と作品は、まさに”目からうろこ、、”だった。 一本のスティックに十七絃の糸を巻く。3本(9m)使ったという。 それを絃に当て、ゆっくり上下させる。キュルキュルと かすかに絃のこすれる音が聞こえる。細かいトレモロが発生し 、音が持続するわけだが、面白いのはスティックを左右に 移動させることで、通奏低音のなか、倍音がメロディー(?)を 奏でるというところだ。ホーミーを想像していただければよい。 一と17以外の絃でも、スティックを上下させる幅は短くなるが、 無理なことではない。龍角と芯座の間の部分もスティックを 使って見せた。現代邦楽でよく高音の装飾音として使われる 部分だが、栗林はそこにも音程を発見し、通常弾く部分に 爪を使って、合奏してみせた。「尺八には負けない」 と持続音にこだわった栗林は、自動トレモロ機も創作する。 モーターで回転するものに絃を当てる、、、 笑いの中にも執念のようなものが垣間見えた。 十七絃を擦絃楽器に、というのはほんの一例にすぎない。 打絃楽器として扱った曲もある。プリペアード十七絃にして、 絃の裏(柱から龍尾に向かう部分)をスティックで叩く。 ガムランのような音色と音階を楽しむ。 絃の表は紙を張ってスネアドラムに仕立て上げた。他にも 十七絃本体をカリンバの大きな共鳴体と考えた作品、 ハーモニックスを駆使した1本だけの絃だけしか使わない作品 など、その発想はとどまるところを知らない。そして、ついには 竹で新しい楽器を生み出した。中でも逸品は尺八の下管の中に バネを仕込んだ打楽器だ。木琴のスティックで尺八を叩くと 「コーン」とエコーがかかったように遠音がさす。 「すべてはいつもラクしてる尺八が憎かったから」と笑う。 音楽の原点が遊びだとしたら、栗林は遊び方を考える遊びを いつもしているのだ。だから究極の遊び、即興も極めて オリジナリティーを持つ。三味線をバチで弾くことが 当たり前になったように、栗林の糸巻きスティックももしかしたら 当たり前になるかもしれない。作曲家は十七絃を擦絃楽器とも 考え、新しい曲を次々生んでいくことだろう。そうして 新しいジャンルが開かれる。 ついでに言うことでもないが、栗林の一番の魅力は 深く美しい音色を紡ぎ出す研ぎ澄まされてた爪音だ。静寂の中 にこそ真骨頂があると思っている(アイデアだけの人では ありません。 為念)




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